私もほんの2~3年前でしょうか、つい最近知ったのですが、多摩川河川敷に多摩川スピードウェイという日本初の常設サーキットがあったんだそうです。コース自体は無くなって今は野球のグラウンド等に変わっているのですが、観客席、グランドスタンド自体は今でも当時のまま残っているのだとか。
この多摩川スピードウェイ跡地がまた最近ニュースに取り上げられています。多摩川河川敷の堤防強化工事の一環でこの観客席部分が取り壊されるのだとか。この遺構の保全を求める運動もあるのですが、現実的に言ってこの観客席全体が保全されるということはもはや不可能とみられるので、ふと思い立って現地を訪れてみました。
「多摩川スピードウェイ」でGoogle検索するとピンが立っているので場所はすぐに調べることができます。多摩川の川崎市側に広がる河川敷、丸子橋にほど近い場所にあります。東急東横線、目黒線も近くを走っており、新丸子駅から歩いて10分ほどのところです。
野球のグラウンドがあるので広ーい河川敷です。サイクリングロードも整備されているので散歩、ジョギング、サイクリング、人の往来もまあまあ多いです。
私自身はここが多摩川スピードウェイ跡地と知ったうえで来ているので、この足元に階段状に広がるコンクリートが観客席なんだろうなというのはわかるのですが、それを知らない人がたまたまここに来ても、ここに昔サーキットがあったなんて知る由もないんでしょうね。
多摩川スピードウェイのことを記したプレートが設置されているとのことだったので、それを探してみます。
ありました。2016年5月に開場80周年を記念して設置されたそうなので、つい最近できたプレートですね。ただこのプレートも地面というか、斜面というか、コンクリ面にひっそりと設置されていますから、知らない人はこれもなかなか気づくことはできないんじゃないかなあと思ってしまいます。
丸子橋の方に歩いていくと多摩沿線道路を渡るための歩道橋があるので、上ったところから改めて観客席を眺めてみます。
ここにかつて日本初の常設サーキットがあった。その遺構が当時と変わらぬ形で現存している。歴史的価値のある建造物であることは間違いないのでしょうが、治水という安全上の問題と照らし合わせたとき、この遺構を全面的に維持保存していくのは現実的ではないという結論になることは理解できます。
予定ではこの10月中にはこの観客席部分への立ち入りが制限され、11月には取り壊し工事が開始されるとのことです。